下請代金支払遅延等防止法が改正されます。ソフト業界にも来年度(見込み)から適用されて、ソフト外注への支払い方法が厳しく(法的には正常に)なります。
これに違反すると、公正取引委員会(独禁法)から50万円以下の罰金が課せれられます。
従来は製造・修理業へ適用されていた下請法(ソフト業界は除外されていた)が役務取引も対象になります。既に本法律は、平成15年6月18日に公布されており、現在運用面で詳細な取り決めの政令を作成中で、来年4月には施行するとのことです。(公正取引委員会へ電話聞き取りによると)

★従来の下請法(下請代金支払遅延等防止法)
   主な義務と禁止行為として主な点は以下のとおりである。
1.義務:
  @取引条件などを記入した注文書の交付義務(第3条)
     書面で発注行為のこと
  A下請取引に関する事項を記載した書類作成・保存義務(2年間)(第5条)
  B下請代金の支払期日を定める義務(第2条の2)
     納入後(受入検収ではない)の60日以内に支払
  C遅延利息支払義務(第4条の2)
2.禁止項目:
  @注文した物品の受領拒否の禁止(第4条第1項第1号)
  A下請代金の支払遅延の禁止(第4条第1項第2号)
  B下請代金の減額の禁止(第4条第1項第3号)
  C受け取った物品の返品の禁止(第4条第1項第4号)
  D買いたたきの禁止(第4条第1項第5号)
  E物品などの購入強制の禁止(第4条第1項第6号)
  F行政庁へ知らせたことを理由にした報復措置の禁止(第4条第1項第7号)
  G有償支給原材料等の対価の早期決済を禁止(第4条第2項第1号)
  H割引困難な手形の交付の禁止(第4条第2項第2号)
3.違反行為に対する措置:
  @立入調査
  A勧告(原状回復)
  B勧告に従わない場合に公表
  C罰金 3万円以下


★改正(平成16年度から実施の予想)
ソフト業界(役務取引を行っている業界)は、従来の対象業界と共に下請法に次の項目が追加される。
1. 下請法の対象となる下請取引の追加
  @ 情報成果物(プログラム等)の作成に係る下請取引
  A 役務(情報処理等)の提供に係る下請取引
  B 金型の製造に係る下請取引

2.書面の交付時期に係る規定の整備について

    製造委託等を行った場合は、「直ちに」書面交付。
    ただし、正当な理由で発注時に記載内容が定められない事項は、
    当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を記載した書面を交付。

3.下請取引に際し、親事業者が行ってはならない行為を追加

  @ 役務の利用強制
  A 不当な経済上の利益の提供要請
  B 不当なやり直し等

4.違反行為に対する措置の強化

  @勧告の内容に「再発防止措置等」を追加。
  A必要に応じて勧告の公表ができることとする。

5.違反時の罰金額の上限の引上げ

   3万円以下 → 50万円以下


補足説明

(1)下請法第2条 定義にて説明している「情報成果物作成委託」とは、以下のとおり
である。
  1. 事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為を他の事業者に委託すること および
  1. 事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合に、その情報成果物の作成の行為を他の事業者に委託すること
2の「情報成果物の作成を業として行う場合」は、これ以外の事業者も対象になるとのこと。   (公正取引委員会に電話で確認済)

(2)下請法の親事業者と下請事業者とは
  1. 資本金が3億円を超える事業者であって、これが個人または3億円以下の事業者に製造委託等(政令で定める情報成果物と役務が対象であり、プログラム作成委託と情報処理委託等が対象になる)をするもの
  1. 資本金が1000万円を超え3億円以下の事業者であって、これが個人または1000万円以下の事業者に製造委託等(政令で定める情報成果物と役務が対象であり、プログラム作成委託と情報処理委託等が対象になる)をするもの
  1. 資本金が5000万円を超える事業者であって、これが個人または5000万円以下の事業者に情報成果物作成委託又は役務提供委託(前項以外のもの)をするもの
  1. 資本金が1000万円を超え5000万円以下の事業者であって、これが個人または1000万円以下の事業者に情報成果物作成委託又は役務提供委託(前項以外のもの)をするもの4.

  ●製造委託等:製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託を言う。



今後の公正取引委員会の動き
政令の案については、ソフト産業等の団体に確認しているが、9月か10月にインターネットで政令原案の評価を受ける予定とのことです。
注目してください。
平成15年8月28日作成
内容についてご指摘がありましたらご連絡願います。
平成16年度改正の下請法